糖尿病(HbA1cが高い)

糖尿病とは

日本には糖尿病の患者さんと、糖尿病の可能性を否定できない方(糖尿病予備群)がいずれも約1,000万人いらっしゃると推計されています (厚生労働省患者調査:2016年参照) 糖尿病は、初期の自覚症状がほとんどないため、知らず知らずのうちに進行し重篤な合併症を引き起こすので注意が必要です。早期発見、早期治療を行うためにも、健康診断などで血糖値やHbA1cの数値が高いと言われたら、一度当院の受診を御検討下さい。

HbA1cとは?

HbA1cは、健康診断の検査項目の1つです。ヘモグロビン・エー・ワン・シーと読み、糖尿病リスクを判別する数値です。ヘモグロビンは、赤血球を構成しているたんぱく質です。血液中に含まれていて、肺から酸素を受け取ったら全身に酸素を運ぶ働きをします。ヘモグロビンは、血液中の糖分とも結合しやく、中でもブドウ糖と結合したものをHbA1cと言います。

血糖値との違いは?

糖尿病の検査では、一般的にまず血糖値を測定しますが、血糖値は直近の食事の時間や内容、運動量によって短期的に数値が上昇したり下降したりするので測定するタイミングで結果が異なってきます。一方、HbA1c値は食事や運動に関係なく、平均的な血糖状態を把握出来る数値として利用されています。HbA1cの数値は、採血時よりさかのぼって1~2カ月間の血糖値の平均値と相関していることが報告されています。
HbA1cの数値が6.5%以上の場合は、糖尿病の可能性が高く、5.5%未満の場合は正常値とされています。糖尿病と診断された場合、HbA1c値を出来る限り正常範囲内に、少なくとも7.0未満に目標設定しコントロールしていきます。

糖尿病の診断について

糖尿病の診断としては、HbA1cが6.5以上の場合は糖尿病の可能性があります。詳細な判断基準としては、

  • 朝の空腹時血糖値 126mg/dL以上
  • 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dL以上
  • 時間関係なく測定した血糖値 200mg/dL以上
  • HbA1c 6.5%以上

上記記載の通り、HbA1cと血糖値の数値で判断していきます。
ただ、実際に糖尿病の予防治療の観点からは、下記のように診断・治療を検討していきます。

  • HbA1cが6.5~7%未満の場合は上記記載の4つの診断基準をもとに糖尿病を診断します。
  • HbA1cが7%以上の方は糖尿病の治療が必要となります。
  • HbA1cが8%以上の方はほとんど糖尿病と診断されます。
  • HbA1c が10%以上の方は、すぐに糖尿病の治療を開始して、治療効果が十分に得られない場合は、専門病院でインスリン投与を検討する必要があります。

HbA1c値が高いことで考えられる疾患

糖尿病以外でHbA1cの数値が高いことで考えられる他の疾患として、異常ヘモグロビン症、甲状腺機能亢進症、腎不全があります。

糖尿病とは血液中の血糖を素早く処理して、血糖濃度を一定に保つ働きをするのがインスリンというホルモンです。膵臓で分泌されるインスリンの働きが何らかの原因で支障をきたし、血液中のブドウ糖をうまく処理しきれなくなると、血糖値が高い状態になりますが、一定値よりも高い状態になると糖尿病と診断されます。私たちが食事を通して摂取した糖分は、消化されるとブドウ糖になります。血液を通して全身に運ばれ、脳や筋肉や全身の臓器のエネルギーとして使われます。糖質が血液中でブドウ糖になると、膵臓でインスリンが分泌され、組織内にブドウ糖がエネルギーとして取り込み、肝臓ではグリコーゲンが合成されるのを促します。

糖尿病は、原因によって1型、2型に分類されます。他の疾患が原因で膵臓の働きに支障がありインスリン生成機能が低下することで起こる糖尿病を1型とします。 一方、生活習慣が原因となる糖尿病を2型とします。炭水化物や脂質の摂り過ぎ、運動不足による肥満、その他、ストレスや加齢などが原因です。日本人は元々、インスリンの分泌機能が低い傾向にあり、成人糖尿病の約9割近くが2型糖尿病と報告されています。

糖尿病の症状と三大合併症

糖尿病の初期では、自覚症状がほとんどありません。私たちの身体は、まず糖をエネルギーとして活動します。その糖が尿に混ざって排出されるため、糖尿病が進行するとトイレに行く回数が次第に増えて、のどが渇き水分をたくさん摂るようになります。糖が排出されるようになるので、たんぱく質や脂肪をエネルギーとして活動するようになるため、疲れやすくなったり、体重が減ったりと日常生活に支障をきたします。さらに、糖尿病が進行すると、血糖が血液中に増え、全身の毛細血管を傷つけてしまいます。そして、糖尿病の3大合併症である糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害を併発する可能性があります。

糖尿病網膜症

血液中のブドウ糖が過剰になると、毛細血管が損傷し、血管が詰まります。目の網膜の血管は非常に細く、血管が詰まったり変形したり出血してしまう状態を糖尿病網膜症と言います。さらに症状が進むと網膜剥離を引き起こし、さらに悪化すると失明してしまう場合もあります。

糖尿病性腎症

血液中のブドウ糖が過剰になると、全身の動脈硬化が進行します。腎臓の毛細血管が詰まったり破れると、老廃物をろ過する機能に支障が出てしまいます。これを糖尿病性腎症と言いますが、症状が進行すると慢性的な腎不全を起こして透析治療が必要になります。現在、糖尿病性腎症から透析を導入される患者さんが増加傾向であり、糖尿病は透析を必要とする病気の第一位です。

糖尿病神経障害

高血糖が続くと「ソルビトール」が蓄積し、神経細胞に支障をきたすとされています。神経がダメージを受けると、足の指や裏に痛み、痺れなどの症状が現れます。さらに進行すると神経感覚が鈍くなり、痛みや痺れの感覚が無くなってしまいます。

糖尿病の治療

糖尿病になったら、血糖値をコントロールし、合併症の併発を予防していくことが大切です。糖尿病を完全に治す方法はありません。血糖値を上手にコントロールして健康寿命を延ばしていきましょう。

薬物治療

血糖値及びHbA1c値のコントロールを目的とした投薬を行います。

食事・運動療法

糖質の吸収を遅らせる働きのある食物繊維を食事の最初に摂るようにします。炭水化物などの糖質を今までよりも減らし、肉などの脂質は脂質異常や動脈硬化のリスクを高めるので控えます。DHAやEPAを含む青魚は血糖値を下げる効果もあることから、積極的に摂るようにします。塩分は高血圧の原因となるので控えます。 2型糖尿病の方には、血糖値を下げる運動療法が有効です。身体を動かすと、糖をエネルギーとして消費し、血糖値を下げます。とくに、ベンチプレスなどの無酸素運動ではなく、有酸素運動が重要で、ウォーキングをはじめランニングや水泳など、出来る範囲内で運動する習慣を付けましょう。運動を継続することで、インスリンの働きが向上し、血糖値のコントロールがしやすくなります。

TOPへ